科学の楽しさ感じて/産総研東北センターが一般公開
2012年8月11日公開
産業技術総合研究所東北センター(仙台市)で4日に開催された一般公開のようす
産業技術総合研究所東北センター(仙台市宮城野区)は4日、研究施設を一般公開した。研究成果の展示のほか、実験や講座、研究室見学ツアーなども行われ、家族連れら約430人でにぎわった。
このうち「研究紹介 圧力のおはなし」講座では、高温高圧状態の水や二酸化炭素を、有害な有機溶媒の代わりに利用するという、同センターの得意技術「超臨界流体の科学」の基礎が紹介された。
「研究紹介 圧力のおはなし」講座のようす
講座では、二酸化炭素の気体と液体が共存できる限界の温度と圧力を超えた瞬間、液体でも気体でもない「超臨界」状態になる様子をデモンストレーション。高温高圧の水はペットボトルの原料化に、超臨界二酸化炭素はシンナーの代わりに塗料の希釈溶媒として利用されるなど、生活に役立つことが紹介された。
その後、圧力や温度を変えると気体や液体はどうなるか、様々な実験を通して演示。大気圧の差を利用してアルミ缶を潰したり、大気圧を下げて沸点を下げたりする実験に、参加した子どもたちは興味津々。実験の結果にびっくりする姿も見られた。
体験コーナー「みそ汁のうずの正体を探れ!」で味噌汁のうずを再現する参加者
このほか、味噌汁のうずを再現したり、息に二酸化炭素が含まれることを色素を使って確かめる体験コーナーや、「癒し効果世界一」とギネスから認定され被災地でも活躍中のアザラシ型ロボット「パロ」などが、子どもたちの人気を集めていた。
さらに今年は、放射線の解説や、最先端技術で生活支援を行う取組み「気仙沼~絆~プロジェクト」の紹介など、東日本大震災に関連するコーナーもあり、参加者らは真剣な面持ちで解説に耳を傾けていた。
製品評価技術基盤機構東北支所のコーナー
また、昨年に続いての共催となる製品評価技術基盤機構東北支所によるコーナーでは、食品や人間の体を守っているカビや細菌など、身近にいる微生物を、親子連れらが興味深そうに観察していた。電池の種類や正しい使い方を学ぶコーナーもあった。
産総研東北センター所長の原田晃さん
同センター所長の原田晃さんは「子どもたちに、科学の楽しさをぜひ感じてもらいたい。その中で、産総研の取組みも知ってもらえたら」と話している。