光の実験に児童ら興味津々/仙台高専リカレンジャー
2012年12月7日公開
仙台高専「リカレンジャー」による移動理科実験教室のようす=仙台市立上杉山通小学校
国立仙台高専「リカレンジャー」による移動理科実験教室が先月、仙台市立上杉山通小学校の5・6年生320名と保護者50名を対象に行われ、武田光博さん(材料工学科准教授)と学生ら約20人が、光をテーマにした様々な実験を披露した。同小校長の菅野正彦さんは「実験をよく見て、理科を好きになって」と挨拶した。
光とは何?
まず武田さんは「光とは何?」「体のどこで光を感じる?」と児童に問いかけ、光は波の性質を持つことを説明した。「波が目に入ると、目が刺激を感じて、明るく見えたり色が見えたりする。人間の目は、波長が長すぎる波も短すぎる波も、感じない」などと話した。
色とは何?
パソコンの液晶ディスプレイの表面を拡大。
次に「人間の目は、いくつの色を感じられる?」と質問し、「人間の目には、赤・緑・青の3色のセンサーしかない」と解説。実際にパソコンの液晶ディスプレイの表面を拡大して見せ、赤・緑・青の自ら発光するドットの組合せで、様々な色が表現されている様子を演示。赤・緑・青の3色の光を混ぜると、白になることも確かめた。
光を分ける
カドミウムランプや水銀ランプなどの光を、自作の分光器でのぞく。
続いて「太陽の光は何色でできているか見てみよう。光の色を分ける装置をつくろう」と分光器を手作り。厚紙を型通りに切り取り、特殊なフィルムを貼って、分光器の完成だ。LEDや太陽光など様々な光を、自分で手作りした分光器でのぞきながら、児童らは「きれいだね」「光が分かれて見えた」と歓声をあげていた。
光には振動の方向がある
偏光板を用いた実験のようす
さらに光の持つ波の性質を伝えようと、偏光板が登場。2枚の偏光板を重ねると、角度によって光が通ったり・通らなかったりする様子に、児童らは興味津々。偏光板は特定の方向に振動している光だけを通過させる性質を持っている。この原理を利用して、携帯電話やノートパソコンなど身の回りの家電や情報機器の多くに、偏光板が使われていることも紹介された。
なぜ夕焼けは赤い?
朝焼けと夕焼けが赤い理由を確かめる実験のようす
最後に「なぜ朝焼けと夕焼けは赤い?」をテーマにした実験が行われた。水を入れた円柱の水槽の下から光を当て、中にワックスを入れると、光の色が赤へ変化していく様子に、児童らは「夕焼けになった!」と驚いた様子だった。
武田さんは「朝と夕方は光が空気を通る距離が長くなる。青色など波長の短い光は空気分子とぶつかりやすいので、空気中を進む間にほとんど届かなくなる。その結果、赤色の光ばかりが届く」と解説した。
授業を終えて
授業後は、児童から「蛍光灯の光は眩しく感じないが、太陽光は眩しく感じる。光には強さがあるの?」「肉眼で見える光は、赤・青・緑と話していたが、肉眼で見えない光はいくつあるの?」などの質問があった。
参加した児童らは「分光器を使って、色は光が集まってできていることがわかった」「偏光板で色が変わるのが不思議で、面白かった」と感想を述べていた。
武田光博さん(材料工学科准教授)
講師を務めた武田さんは「科学に興味を持ってもらえたら、という思いで準備した。科学に限らず、自分が興味を持ったことに対して、貪欲に挑戦して欲しい」と話している。