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今、子どもたちに必要な力とは?/仙台自分づくり教育フォーラム開催

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今、子どもたちに必要な力とは?/仙台自分づくり教育フォーラム開催

2019年8月11日公開

「第4回仙台自分づくり教育フォーラム」のようす=8月2日、太白区文化センター(仙台市)。

 仙台版のキャリア教育「仙台自分づくり教育」の取り組みについて、より深く知ってもらおうと、「第4回仙台自分づくり教育フォーラム」が8月2日、太白区文化センター(仙台市)で開催され、地域の企業や団体等、約540人が参加した。仙台市では、児童・生徒が自ら意欲を持ち、人や社会との関わりを大切にしながら、将来の社会的・職業的自立に必要な態度や能力を育むことをねらいとして「仙台自分づくり教育」を2006年度から推進している。その中核となるのが人や社会との関わりについて実践を通して学ぶ職場体験活動で、なかでも中学生の職場体験活動には2700を超える市内事業所等が協力している。同フォーラムの運営も職場体験活動の一貫として位置付けられ、約70人の中高生が受付や誘導、司会進行などの運営を担当した。

アナウンサーで朗読家の渡辺祥子さんによる小学校での職業講話「仙台自分づくり夢教室」実演のようす

 フォーラムでは、郡和子仙台市長が「仙台市の子どもたちの課題として、失敗を恐れずに難しいことにも挑戦する気持ちの弱さが見られる。子どもたちが大人になる10年後、20年後は、技術の進展により職業が今の半分になると言われる中、今、子どもたちに必要な力について、学校、家庭、地域がともに考える機会としたい」とあいさつ。続けて、共催者を代表して仙台青年会議所副理事長の古川直磨さんがあいさつし、「職場体験活動が児童・生徒の地域に対する理解と愛着を深め、地元を舞台に活躍する若者を育てることを期待する」と述べた。また、オープニングイベントとして、社会人講師による小学校での職業講話「仙台自分づくり夢教室」の実演が、アナウンサーで朗読家の渡辺祥子さんから披露された。

小学校・中学校・高校における職場体験活動の事例紹介のようす(写真は宮城野中学校)

 その後、小学校・中学校・高校における職場体験活動の事例紹介があった。はじめに榴岡小学校からは、児童が学区内の店等で職業体験を行う活動「弟子入り留学」の紹介があった。店主や従業員を「親方」と呼び、児童が「弟子」として職業体験を行う同小独自の活動で、20年目を迎える今年は学区内46の店等が協力。職業体験後は、子どもたちが進んで挨拶や声がけをするようになった等の変化や、地域との信頼関係によって同活動が成立していることなどが紹介された。続けて宮城野中学校からは、市内の事業所等で3日間の職場体験活動を行った生徒5人が登壇。職場体験活動を通じてコミュニケーションや礼儀の大切さなどを学んだことなど、生の声を届けた。仙台工業高等学校からは、民間企業への勤務経験(インターンシップ)を通じて、就職を漠然と考えていた生徒たちが、「地図に残る仕事がしたい」「より難易度の高い資格を取得したい」など具体的な夢や目標を持つようになったことが報告された。

日本銀行仙台支店支店長の岡本宜樹さんによる基調講演「令和時代の東北経済と子どもたちに身に付けさせたい力」のようす

 最後に日本銀行仙台支店支店長の岡本宜樹さんが「令和時代の東北経済と子どもたちに身に付けさせたい力」と題して基調講演を行った。岡本さんは、子どもたちが社会人として活躍する20年後の経済を「人口減少、少子高齢化で不安に思う人も多いと思うが、一人ひとりが経済的に貧しくなる将来は想定できないため、悲観する必要はない」と解説。一方で「経済的繁栄を支えた環境が激変するのは確かで、将来変化は予測不可能なため、自らの頭で考え自分のアイディアを出すことが大切」と指摘。「現に金融市場や経済界で影響力が大きい人たちの共通点は、ワクワクしながら毎日の現実を認識し、自分の興味を追求するために戦っている人で、生き生きとして経済的にも成功している」と自身の経験を踏まえた上で、「ワクワクする能力が重要。人間が何をおもしろいかと思うかを発見する能力はAIにない。自らの感性でつかみ取った価値観を育て、それをモチベーションに前へ進んでほしい」と呼びかけた。


関係者インタビュー

― 本日のフォーラムを踏まえ、「宮城の新聞」読者の中高生へメッセージをお願いします。


◆ 興味の先に進むべき何かが必ず見つかる
/仙台自分づくり教育研究会 会長 山口哲男さん

 多感な中高生時代、いろいろなことに興味を持つ時期だと思いますが、ぜひ世の中のあらゆることに興味を持っていただきたいです。その中に、自分が進むべき何かを必ず見つけることができるでしょう。躊躇せずに、いろいろなことにぜひ臨んでください。


◆ 大人の働く姿から輝かしい未来を想像してほしい
/宮城県中小企業家同友会 代表理事 鍋島孝敏さん

 人はいずれ皆、何らかの形で働かなければいけません。学校はそのための基礎知識を身につける場所です。じゃあ、何のために働くのか?それは、収入を得るためでもありますが、それ以上に、人や世の中の役に立つという大事な役目が皆さんにはあるわけです。そのために今一生懸命勉強しなきゃいけないわけで、そんな未来が待っていることを小中高生の皆さんに知ってもらいたくて、職場体験活動を一生懸命やっています。小中高生の皆さんには、輝かしい未来が待っていることを、ぜひ心に刻んでほしいです。


◆ ワクワクする対象は今まで以上に広がる
/日本銀行仙台支店 支店長 岡本宜樹さん

 これからもITはまだまだ進化していく過程にあります。ITを使うことで、世界中のいろいろな垣根はどんどん下がり、やりたいことをやる時の障害も消え、いろいろな人とのつながりも想像以上に出て、ワクワクする対象はこれまで以上に広がるでしょう。大いにワクワクしてください。一方で、それはいろいろなリスクとも裏表の関係にあります。スマホの使い方も含めて、ITとのよりよい付き合い方を皆で考えていけるとよいと思います。


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