取材・写真・文/大草芳江
2015年3月23日公開
2015年4月20日追記
【写真】3月7日に開催された、東北大学電気・情報系「女性研究者フォーラム」のようす=東北大学片平キャンパス
東北大学電気・情報系を卒業して企業等で活躍する女性研究者・技術者等の姿を後輩たちに伝えようと、「女性研究者フォーラム」が3月7日、東北大学電気・情報系"電気・情報未来戦略-21世紀を拓く情報エレクトロニクス―"懇談会の主催により同大片平キャンパスで開かれ、現役女子学生ら約40人が参加した。
女性の社会進出が進む一方で、企業で働く女性研究者・技術者等の情報はまだまだ不足している。そんな中、企業で活躍する女性卒業生たちの活躍について情報提供を行い、直接交流する場を設けることで、現役女子学生たちが将来のキャリアプランやライフスタイルを考える上での参考にしてもらおうと、同系が昨年度に続いて企画した。
【写真】女性卒業生によるプレゼンテーションのようす
フォーラムでは、大手メーカーや中央省庁などに就職した女性卒業生たちが、これまで歩んできたキャリアや仕事内容、プライベートやライフイベントなどについてプレゼンテーションを行った。「会社には、性別に関係なく働ける環境が整っている。あとは、パートナーの理解次第」「大学での研究内容が企業での業務内容に直接つながらなくても、工学部で得た知識やものの考え方は、必ず仕事に役立つ」「専門にとらわれず、様々な分野や職種に興味を持ち、自分の世界を広げてほしい」などと後輩たちにエールを送った。
【写真】女性卒業生を囲んだ懇談のようす
プレゼンテーション後は、お茶やお菓子を片手に、女性卒業生たちを囲んだ懇談の時間が設けられた。女子学生らは、日頃抱いている進路選択の悩みや、仕事と育児の両立に対する心配などを、先輩に次々と質問。熱心にメモを取りながら、先輩からのアドバイスに耳を傾けていた。主なやりとりは、<参加者の声>の通り。
参加した女子学生たちは「女性の社会進出については、漠然としたイメージはあったが、企業等で活躍する女性と実際に初めて話ができ、社会人として働く具体的なイメージが湧いた」「メーカーや通信、公務員など、多様な分野の社会人女性と一度に話せる機会は他にないため、参加して良かった。特にキャリアやワークライフバランスに対する考え方が人それぞれであることもわかり、自分の将来を考える上でも参考になった」と話していた。
<参加者の声(一部抜粋)>
■キャリアプランについて
Q. 卒業後、どのような職種に就くべきか悩んでいる
A. 工学部で身につけた知識や論理的思考、ものごとに取り組む姿勢などは、どんな職種に就いても活かせる。研究職のみにとらわれることなく、幅広い視点で自分に合った職種を見つけて欲しい。
Q. 大学における専門とは異なる分野へ就職することに迷いはなかったか?
A. 就職は縁。「ここで自分はプロフェッショナルになりたい」という会社に出会えたので、迷いはなかった。自分が何をしたいかを一番に考えて。就職は通過点の一つであり、そこから色々な道が拓けるはず。
Q. 女性でも海外勤務などを経験して活躍していることに驚いた
A. 今は様々な制度が整ってきており、パートナーや周囲の理解を得れば、性別に関係なく多様なキャリアパスを描ける時代。学生の頃は、自分が海外で仕事をするとは思っていなかったが、異なる価値観を持つ人たちと同じ目的を共有し仕事をする海外勤務を通じて、日々発見があり、自分の成長を実感している。自分がどうしたいかが一番大事。
■仕事と育児の両立について
Q. 出産を機に仕事を辞める女性はいる?
A. 当社には出産が理由で仕事を辞める女性社員は、ほとんどいない。どの企業にも育児と仕事との両立支援制度はある。もし興味のある会社があれば、両立支援制度の有無と利用状況を調べた方が良い。
Q. 将来、出産しても仕事を続けたい?
A. 続けたい。幼い頃は両親が共働きで寂しい思いをしたため、自分は将来、結婚したら仕事を辞めると考えていたが、実際に働いてみると仕事は面白い。仕事を通じて、自分の興味を深め、できることを増やし、魅力的な人間になりたい。
■「女性研究者フォーラム」に参加して
・結婚や出産・育児など、女性としての人生の分岐点において将来考えるであろうことを、経験者から直に聞けて良かった。
・結婚後は、仕事と家庭の両立は難しいと思っていたが、両立する方法は色々あることがわかり、ためになった。
・卒業して就職したら、海外勤務も経験したいと思っている。実際に海外で活躍している女性の先輩の話が聞けて、勇気が湧いた。
・女性の先輩方の話を聞いて、今はあまり心配し過ぎず、自分が今やりたいことを一生懸命やった方がいいと思えて、将来に対する不安が和らいだ。